妊娠中のマイナートラブル
つわり
たいていの方は軽い吐き気・食べ物の好みが変わる・においが気になる・食欲不振などということで「つわり」と感じるようです。つわりは妊娠5~10週頃に症状がでて16週頃にはほとんどの人がおさまります。
対策
- 食べやすいものや食べられるものだけを食べたい時に食べる。
- 友人などと会って気分転換する。
- 食事の用意が辛いときは外食したり、ご主人に代わってもらう。
- お腹がすくと吐き気がする場合は、軽く食べられるものをいつも用意しておく。
- この時期は、まだ胎児の栄養を心配する必要はないので、食べられなくても気にしないでください。
- 水分も受け付けないようなら受診しましょう。
便秘・痔
妊娠するとホルモンが変化します。そのせいで腸の働きが弱まったり、大きくなった子宮が腸を圧迫したり、運動不足などもあって便秘がちになる人が多いようです。
また、血液循環が悪くなり肛門周辺はうっ血しやすいため痔にもなりやすいようです。
対策
- 繊維の多い野菜を食事に取り入れる。
- 朝、牛乳や水を飲む
- 適度な運動をする
- 頑固な便秘の場合や、痔になってつらい場合は医師に相談しましょう。
尿が近くなる
大きくなった子宮が膀胱を圧迫したり、膀胱周辺がうっ血して尿が近くなります。 尿を我慢していると膀胱炎や腎盂炎になりやすくなりますから、我慢は禁物です。
また、妊娠末期になると尿が漏れることがあるかもしれません。これは筋肉の動きが鈍り、組織がやわらかくなったためです。
対策
- トイレは我慢しない。
- 肛門を締めたり、排尿を途中でやめる練習をする。
- 残尿感や、排尿時痛みが伴う時は受診しましょう。
おりものが多い
妊娠すると、分泌されるホルモンが変わるので、おりものが多くなります。
対策
- 毎日入浴し、体を清潔にしましょう。
- おりものシートを使うより、下着をまめに交換しましょう。
- かゆみや痛みを伴う時や、おりものの色が普段と全然違うときは、受診しましょう。
肌が黒ずむ
色素沈着により乳首・乳輪・外陰部や脇の下などが黒ずんできます。
また、シミやソバカスが多くなるのもメラニン色素が増えるためです。
対策
- ビタミンA・C・D・Eの入った食品をとる
- A:卵・バター・にんじん・かぼちゃ・トマト・ほうれん草など
- C:新鮮な生野菜・緑茶・くだものなど
- D:魚の内臓・干し魚など
- E:サニーレタス・小松菜・カリフラワーなど
かゆみ・かぶれ
ホルモンバランスの変化によって、妊娠中は皮膚が敏感になり、おなかや腰のまわりがかゆくなったり、化粧品やパーマ、カラーでかぶれたり、小さなことが原因でじんま診ができるなど、普段はでてこない症状がでることがあります。
対策
- 低刺激の保湿クリームを使うなど、保湿に心がける。
- 掻いてしまうことで悪化するため、爪は常に短く切っておく。
- あまりにひどい時は受診しましょう。
お腹が張る
立ち続けていたり、長く歩いたときなどに、おなかが少しかたい感じになることがあります。このような状態を「張る」といいますが、これは子宮が少し収縮したために起こるので、日に数回は普通のことです。
対策
- 「張り」を感じたら横になりましょう
- 横になって30~60分たっても良くならない、または張りが強くなったり頻繁なら受診しましょう。
腰・背中・足の付け根の痛み
妊娠中は、重い子宮を支えるために背骨をそらせた姿勢をとっています。そのため、背筋がいつも緊張した状態になり、腰や背中に負担がかかって痛みます。
また、お産の準備のために、骨盤の骨の結合部分がゆるみ、腰痛の原因になることがあります。
対策
- お産がすめば解消されます
- 普段から運動をして、筋肉を鍛えておくことが大切です
- 妊娠中でも軽い体操を続けていれば防げます
こむらがえり
寝返りをうったり、急に足を伸ばした瞬間、こむらがえりが起こることがあります。
妊娠中は子宮が下半身を圧迫するので、血液の流れが悪くなり、うっ血状態になっているために起こります。
対策
- カルシウム不足にならないよう、摂取に心がける
- 軽い運動を続ける
手足のしびれ・むくみ
朝起きぬけなどに、指が動かしにくかったり、しびれたようになったり、感覚が鈍くなる人は多いようです。眠っている間は、血液の流れが遅くなってむくみの原因となっているためでしょう。また、妊娠後期になると、血液量が多くなり体内の水分が増えるのでむくみやすくなります。
対策
- 手を握ったり開いたりする
- 足を高くして休む
- 睡眠、休息を十分とる
- 食事は塩分を控えめにし、味付けは薄味にする
- むくみがひどくなるようなら、妊娠高血圧症候群の前ぶれかもしれませんので、受診をおすすめします
頭痛
妊娠するとホルモンの影響で、視点を合わせる機能が少し緩慢になるため、目が疲れやすくなります。眼精疲労から頭痛になることもあります。
対策
- 目を休ませるように心がけましょう
- 気分転換に散歩するのもいいでしょう
- 頭が割れるほど痛むときは、何か別の病気が潜んでいる危険性や、高血圧の危険性があります。心配ですので受診しましょう
虫歯
妊娠中に虫歯が多くなるのは、いくつかの理由が考えられます。妊娠してホルモンのバランスが変わったり、食べ物の好みの変化・つわりなどでつらいために、つい歯磨きを怠ったりすることが原因と考えられます。虫歯は、体調が悪かったり、体力の落ちたときになりやすいので、そのせいもあるでしょう。
対策
- 歯磨きは、まめに行ないましょう
- 虫歯は自然に治ることはないので、早めに歯科に受診しましょう
- 異常がなくても、歯科検診を妊娠中に受けておきましょう
- 歯科に受診するときは、妊娠中であることを必ず伝えましょう
立ちくらみ
電車や人ごみの中、また急に立ち上がったときに立ちくらみは起こりやすいです。
妊娠中は自律神経の働きが不安定の上、血液が子宮に集中し、脳に行く血液量が少なくなることも原因です。
対策
- 睡眠を十分にとりましょう
- 3食きちんと食べましょう(お腹がすき過ぎない)
- ゆっくり立ち上がりましょう
- クラッときたり、目の前が真っ白になったら、その場にしゃがみこむ・何かにつかまって、体を支えましょう。その後横になって休めば落ち着きます